先日、2週間立て続けにカーネギーホールで二人の巨匠ピアニスト
内田光子さん、Pierre Laurent Aimard(ピエール=ローラン・エマール)さん
のソロリサイタルを鑑賞してきました。
両者ともヨーロッパ拠点に世界第一線で活躍されている演奏家です。
素晴らしいパフォーマンスに出会うと、自分の演奏方法にとても勉強になりますし、
次の日からの練習の励みにもなります。
そして、このような有名なピアニストの方々にももちろん個人差、得意分野があり
コンサートホールではその臨場感を味わうことができます。
どんなに良質のスピーカー、HDスクリーンでも
これに勝るものはないでしょう。
毎週のように出向く時間はなかなかないにしても、
このような近距離にワールドクラスの演奏家が集まるコンサートホールがあり、
気軽に出向くことができるのは
ニューヨークに住んでいる特権ですね。
皆さんも機会があれば是非一度、足を運んでいただきたいと思います。
内田光子リサイタル 2/26(月)
内田光子さんは去年のこの時期にも同じカーネギホールでソロリサイタルを開いていて、
その時はモーツアルトプログラムを演奏されていました。
内田さんは日本人のご両親を持ちながら、
幼少の頃からヨーロッパ(ザルツブルグ)で過ごされている事から、
演奏表現方法もやはり西洋教育の影響がとても強いピアニストです。
今はイギリスの市民権をもってヨーロッパ各国で活躍され、
もちろん日本でも頻繁にコンサートをされています。
カーネギーホールでも、いつもドイツ・ハンブルグ製のスタインウェイグランドピアノで演奏されています。
曲目は全てシューベルトソナタ!
*リンクからiTunes でそれぞれの曲をダウンロードできます。
演奏が始まって、最後にアンコールをして終わったのが約2時間半後。(15分の中間休憩を含む)
一つ一つの曲が長いので、マラソンのような感じです。
内田さんは全ての曲を暗譜で演奏されていました。
この長期戦で譜面なしとは、さすがの大御所です。
私は個人的にD.960 変ロ長調が好きなので次は是非!というところです。
クリスタルクリアーな技巧
内田さんは、古典派の曲目を披露されることが圧倒的に多く、
シューベルトのようなロマン派に識別されるような作曲家でも
割と古典派向きの曲目が多い印象です(VS ショパン/リスト等)
演奏している時の顔の表情などから、人に見せる表現力が高いピアニスト(V.S.無表情で、演奏の音だけで表現力を勝負する)だと思いますが、
それでも感情の赴くままというよりは
しっかりストラクチャーを守りながらきっちり進んでいくタイプだなと思います。
このコントロールってとても難しいし、
全ての音を均一にしっかり形作りながら弾くというのは、
指を早く弾くことより精神的にももっと訓練が必要になります。(少なくとも私はそう思います)
フレージングもとてもはっきりと、そして終わりがとても優しい、且つ
モーツァルトのようなお転婆な面を持っている彼女の演奏はさすがなんです。
アンコールは、ショーンベルグの短い曲を一つご披露されていました。
ショーンベルグは全く古典派ではありませんが、内田さんは数多く演奏されています。
Six Little Piano Pieces Op. 19-2 (ここからSlow Movementを披露)
次のページへ続く:ピエール=ローラン・エマール